物価高や光熱費の値上げ、実質賃金の下降などによって消費が低迷し、夏商戦では苦戦した専門店も多い。大手小売りはバーゲン時期に入り、これから専門店でも夏物一掃セールが始まっていく。長引く残暑への懸念はあるが、秋物の仕入れが大事な時期に入ってくる。

秋物ピークに備えた仕入れが必要

 昨年は9月末まで夏日を記録した日が少なくなかった。今年も昨年と同様に残暑が長引くと見る問屋は多い。しかし、9月に入れば夏物をそのまま店頭に置いても売れないのは目に見えている。

 横山町の問屋各社は秋物の展開を従来のお盆明けから8月初旬に実施するケースも増えてきた。この背景にはメーカー各社が秋物の生産量を減らしている上、期中追加が難しい状況があり、また問屋各社は秋物に早めに取り組むことで、専門店に対して十分な商品量を確保するという狙いがある。専門店の秋物販売のピークがどの時期にやってくるのかは不透明だが、秋物が動き始めてからの仕入れでは間に合わない。ピークに備えて、各社とも早めに秋物商品を充実させ、専門店の期待に応えられるよう最大限の努力をしている。

 丸太屋(東日本橋2の26の8)と宮入(横山町6の18)は昨年に引き続き、7月に秋冬物展示会を開催した。共に取引先が要望するアイテムを着実に揃えることはもちろん、必要な数量を早めに手配するのが目的だ。小売店の発注に応えて商品を供給するのが問屋の役割だが、展示会で取引先と打ち合わせることでメーカーに対して早め、早めに仕入れ量を示すことで確実に商品を確保する。

初秋物は夏素材の秋色

 「従来のMD計画が通用しなくなっている」との声が聞こえてくる。長引く残暑の影響で夏物を引っ張り過ぎれば秋物のピークを逃してしまうことにもになりかねない。

 初秋物のスタートとして各社とも力を入れているのが、気温が高くても着られて、秋の長い期間で使える商品だ。夏向け素材で涼しさを感じさせ、秋の季節にマッチするカラーとデザインの商品を打ち出す。

 アクロス(横山町6の15)は週3回、新作を投入する予定。8月1日から晩夏・初秋物としてカットソーを中心に、得意のアンサンブルなどからスタートする。

 メーカーのレディースほりかわが出店するザ・センバ3(横山町8の15)は店舗2階ですでに秋物のサンプルを展示し、受注を始めた。「長い期間の販売が期待できる」と、ニットに力を入れ、カーディガンやワンピースなどのほか、1枚で着られるチュニック系もバリエーションを増やした。

 トーヨーは(横山町6の13)は、昨年は11月でも秋物が動いたことから「長袖のカットソーの在庫を厚くする」という。

大事になる品質商品の差別化必要

 商品の価格は以前に比べて値上がりしているが、大事なのは品質だ。価格で選ぶのではなく、「デザインや素材など品質の良い物を販売している専門店が売上げを維持している」という話を聞く。低価格というだけで消費者は動かない。価格に見合った価値を見極めて購買する。顧客の目に適う商品を問屋街で選ぶことが肝要だ。