問屋街活性化委員会(三上明夫会長)は産学連携事業の一環として、文化服装学院とコラボレーションし、BtoBに向けた商品化のプランニングコンペを実施。同学院の前期授業として取り組まれ、2企画が選ばれて横山町奉仕会の日東タオルが商品化した。12月の大江戸問屋祭りでは同社店舗で販売したほか、このほどセレクトショップや百貨店などで期間限定店の開設も決まった。

企画から商品化まで学生に機会を設ける

 文化服装学院と横山町馬喰町問屋街の交流は2003(平成15)年に、産・官・学連携の取り組みとして始まった。その後、問屋街活性化委員会が主体となり、校外授業として、文化服装学院ファッション流通科の学生のタウンウォッチングや横山町奉仕会と東京問屋連盟による特別講義などがカリキュラムに組み込まれた。コロナ禍もリモートなどで活動を継続してきた。

 今回のコラボレーション企画は初めての取り組みだ。同学院のファッション流通科1年生とファッション流通高度専門士科の学生がそれぞれ数人のチームを組んで、商品コンセプトからデザイン、商品化までの企画全体を企業にプレゼンテーションし、売り場での販売までを体験する。教室の授業だけではなく、実際に企業に提案し、商品化に向けての課題を発見し、それを改善していく。学生たちにとっては将来に向けて貴重な体験になったはずだ。

 日本一の問屋街である横山町、馬喰町でビジネスを続けてきた各社で作る問屋街活性化委員会の力がなければ実現できないコラボレーション企画だったに違いない。 

87チームが参加最終プレゼンに9企画

 今回のテーマは「タオルは手紙だ」。タオルは年賀にもプレゼントのアイテムとしても使われている。テーマには、タオルを通して贈る人の気持ちを伝えるという思いが込められている。

 コンペに参加したのは87チーム。校内選考や問屋街活性化委員会が参加しての協議を経て、9チームが最終プレゼンテーションに臨んだ。それぞれのチームが商品コンセプトから具体的なデザイン、素材、パッケージ、プロモーションなどトータルな商品企画を発表した。タオルと香水のギフトセットにサブスクリプション(定額利用)サービスを取り入れた企画、新生活やZ世代(1996〜2010年に生まれた世代)にターゲットを絞った企画などが披露された。地球環境に配慮したSDGs(持続可能な開発目標)に対する意識が高く、各チームともコンセプトや商品に取り入れていた。

2企画が商品化実際の販売へ

 最終的に商品化が決まったのは「思い出ギュッと! 電車タオル」と「yasaiタオル」だ。独自のコンセプトが高く評価された。

 「思い出ギュッと! 電車タオル」は幼稚園・保育園に行くのが楽しくなるタオルで、親子で作るクラフトペーパートレインで素敵な想い出を作って欲しいというメッセージが込められている。タオルは20×20㎝サイズで幼稚園・保育園で使いやすいようループを付け、子供に人気の電車をモチーフにした刺繍を入れた。さらにたくさん想い出を作ってもらえるよう、QRコードからクラフトペーパーを印刷できるという工夫もした。色塗りをして楽しむことができる。昨年12月に開かれた大江戸問屋祭りで日東タオルが先行販売した。

  「asaiタオル」は社会的課題となっている廃棄野菜や食品ロスに焦点をあて、地球に優しく、環境にも配慮した商品を目指した。 皮が柔らかく、浅漬けにする前の水ナスの表皮を使った「なす紫」 で染色した。タオルは25×25㎝サイズ。吸水性のある薄手のタオルに水ナスをモチーフにしたデザインを織りで表現している。携帯性にも優れたポ ケットサイズ。同商品は、植物染で実績があり、数多くの製品を発売している泉州のタオルメーカー、袋谷タオル(大阪府泉佐野市)が製造した。すでに日東タオルの子会社モラルテックスと袋谷タオル合資会社のオンラインショップで販売しているほか、4月から5月にかけてはセレクトショップや百貨店などで期間限定店を開設して販売する予定。